9月7日(水)・8日(木) 「また台風」 どちらも晴れ

9月7日(水) 晴れ

台風14号の影響で飛行機が飛ばない心配があったが、昨日、那覇まで戻ってきた。急用で東京に帰っていたのだ。

台風は九州に行ったとはいえ、昨日はくもりでまだまだ強風。泊まった今帰仁の宿では、すぐ前の海が大きく荒れ、怖いぐらいだった。

今日は晴れたが日差しが柔らかい。前回、那覇を訪れたのは7月下旬。手の甲が焼けないようにと下に向けてハンドルを握っていたが、真夏の日差しに負け、夕方にはヒリヒリしていた。でも今日は、たぶんそんなことにはならないだろう。

 石垣空港に着き、荷物が出てくる回転台のロビーに行く。すると、向こうの方に人だかりができていた。近づいてみる。人の頭越しに見えるボードにはこう書いてあった。
「台風15号のお知らせ」
 ガーン! また来ているのか。

「台風だってよ」
「え、うそ?」
14号をなんとかやり過ごし、やっと石垣に到着した観光客からため息が漏れる。
「さっさと潜って帰らなきゃ」
 隣に立つおばさまは前向きな考えだ。

 西表の部屋に着くと、さっそくヒロミさんに電話を入れる。婦人部長のナリコさんは石垣に行っているからだ。19日の敬老祝賀会に向けて、そろそろ踊りの練習が始まる。それがいつからなのか、私はなにを踊るのか、聞いておかなくてはいけない。昨晩の婦人部集会で、そういったことが決まったはずだった。

「踊りの練習は明日からね。チナミさんは『めでたい〜』でも『浜千鳥』でもいいし、青年たちと『かたみ節』やってもいいよ」
 そういわれ、なん度か舞台で踊った『めでたい節』はお休みし、『かたみ節』に混ぜてもらうことにした。『浜千鳥』をおぼえてレパートリーを増やすことにも魅かれたが、8月に続き新しい踊りをお稽古するのはしんどい。『かたみ節』はアンガマで踊ったばかりなので、少し復習すれば思い出すだろう。敬老の祝賀会はのんびり迎えられるなぁと安心した。このときは、これから訪れる怒濤の日々の気配すらなかったのだ。


9月8日(木) 晴れ

夜8時半、踊りの練習のため公民館に行く。集まったのはヒロミさん、ムツミさん、ノブエさん、カヨコさん、私。私以外の人たちが踊る『浜千鳥』のビデオをみんなで見る。

『浜千鳥』は沖縄舞踊の中でも人気の踊りで、沖縄本島の方言で「ちぢゅや」という。ひとりか3人、あるいは4人で小道具を持たずに踊る“手踊り”だ。沖縄舞踊の基本動作が全部入った入門的な演目ともいわれている。

干立では8年ほど前、公民館の新築祝いのとき、いまの60代の人たちが踊ったことがあるらしい。しかしそれからは一度も披露されず。今回また一からおぼえて舞台に立つことになったのだ。ビデオを見ながら「ここはこうやるのね」などとはじめての踊りのように感心しているのは、習ったものと振りが違うからだろう。

ビデオを巻き戻しているときに、カヨコさんがふと漏らした。
「青年は『かたみ節』をやるっていうけれど、習った人に聞かなきゃダメなのにね。『踊ってもいいですか』って」
「あら、聞いてないの? それは失礼よね」
 ノブエさんもカヨコさんと同じ意見らしい。

カヨコさんによると、青年たちに踊りを教えてくれたキョウコちゃんとトモミちゃんが、わじわじ(*1)しているという。自分たちもビデオを見ながらやっと踊りを起こし、おぼえたばかりだ。公民館で披露する前に、アンガマで乞われて教えた青年たちに勝手に踊られるのはやるせない、ということだった。

そんないきさつがあったとは知らず、カヨコさんの話を聞いてびっくりした。『かたみ節』は教えてくれたふたりのずっと前からのレパートリーだと思っていたのだ。私だけでなく、青年部のほかの人たちも同じ認識だろう。それに、踊りというのは習ったらその人が好き勝手に踊っていいわけではない、ということも知らなかったからだ。

いったいどうしたらいいのか? 聞かなかったことにして知らん顔するか? 『かたみ節』だけでも取りやめにするよう調整するか? とりあえずキョウコちゃんに、もう少し事情を聞くことにした。


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