9月9日(金) 晴れ
昨夜、キョウコちゃんと電話で話して、ほかの人はどうであれ、私は『かたみ節』に出るのはやめようと思った。それに、私は婦人部の役員である。
「役員は婦人部で踊らないといけないんじゃない?」
という意見もあり、私もそういう気がするので婦人たちと踊ることにした。
内地の感覚では、「おじい、おばあの長寿をお祝いする気持ちがあれば、どういう肩書きでなにを踊ったっていいのでは?」ということになる。しかし一方で、ここ西表の干立ではそうとも限らない、というのも理解できる。実際、敬老の祝賀会は婦人部主催だ。主催側の役員なのに、いち青年部員として踊りに出るというのは、見る人が見たら「おかしい」ことかもしれない。個人的にはどうでもいいのになぁと思うのだけれど。
『かたみ節』をおりてしまうと、私はなにに出たらいいのかわからなくなった。『めでたい節』は人数が足りているような、足りないような。衣装の関係で5人までということなのだが、メンバーのひとりであるアキコちゃんが仕事を休めるかどうかはっきりせず、私は彼女の補欠という感じだ。出られなかったときのために、確実に出られる『浜千鳥』は練習しておかなくてはいけないだろう。
『浜千鳥』だけを繰り返しダビングした練習ビデオを作るため、昼間、公民館に行く。練習をはじめためでたいチームが、ヒロミさんに教わりはじめた。
「チナミちゃんもこっちに来て踊って」
ヒロミさんにいわれ、みんなのところに行く。
めでたいのメンバーは、カネコさん、アキコちゃん、マサコさん、スズメちゃん、ヒロコさんの5人。練習に来ているのはカネコさん、アキコちゃん以外の初心者3人だ。ヒロミさんと一緒に前に出て踊ることになったのだが、後ろからじっと見られているのがわかるので、緊張する。
めでたいの3人とヒロミさんが帰ったあと、ダビングを終えたテープをチェックしながら動いてみる。よく考えたら、これまでおぼえた3曲はどれも扇を使った踊りだ。ちぢゅやは手踊りである。なんだかとっても難しい。それに、くねくねと色っぽい。私がいちばん苦手とする雰囲気だ。できそうな気がしない。しかも10日で仕上げるのは、絶対ムリだ。
夜、昨日のメンバーで集まって練習する。みんな思うように踊れない。だれからともなく、
「間に合いそうにないねぇ」
という声が出る。やれるところまでやって、ダメだったら1番だけ踊ろうか、という妥協案も出る。お正月までに4番までおぼえればいいじゃない、と。
でもなぁ。どうせお正月も10日前から練習しないだろうし。それで残りの3番をおぼえるのは、やはり時間が足りないんじゃないか?
「だったら2番までにしませんか? 半分やっておけば、あとは半分だから気が楽だし」
と提案してみる。
「そうねぇ。じゃ、無理そうだったら2番までにする?」
カヨコさんがなんとなく賛成してくれる。本心をいえば、“無理そうだったら”なんて妥協案を早々に考えると、だいたい安易な方に落ち着くので、そういう相談は本番3日前ぐらいにしてほしいのだ。でも、そんなことはいえないので、2番までを提案した。そうでもしなければ、1番だけの練習で終わってしまいそうだった。
さて当日は、いったいどこまで披露できるのやら……。
9月10日(土) 雨
また台風が来ている。昼もやらないと間に合わない、ということで今日からみんなで昼練だ。その代わり、夜は暴風域に入りそうなのでお稽古はない。
みな「イチからやり直し」とはいうけれど、私とムツミさん以外の3人はウチナンチュウだし、一度おぼえた曲でもある。なんとなく「振りを思い出している」という雰囲気がある。まったくはじめての私は後れを取らないよう、家でビデオを繰り替えし見る。扇踊りと違い動きが小幅なので、狭い我が家でも練習できるのがいい。やっと、どこまでが1番でどこが2番……というのがわかってきた。こんなペースで大丈夫か?
三好さんに呼ばれていったら、ネコの仔が2匹生まれていた。500円玉ぐらいの大きさだ。4匹生まれたが2匹は死んでしまったらしい。これで三好家のネコは11匹だか13匹だか。自分は粗食をしているくせに、ネコには買ってきたエサを与えている。しかもなぜか、ドッグフード。大量なのに安いからだろう。これでエサ代がまたかさむのではないか? 最近、バイトしているから余裕があるのかな?