敬老の祝賀会のため、朝9時から公民館厨房で刺身を切る。中庭では老人対青年で、わきあいあいとゲートボールをしている。ここ一番、というところで、ゲートボールに慣れない青年が大きく空振りしたり、意外なヒットを飛ばしたり。ときたま「うぉー」と聞こえる声につられ、仕事を中断しては見に行ってしまう。
午前中の仕込みは11時半に終わり、午後は1時半集合。お昼ご飯を食べて支度をしたら、もう家を出る時間だ。まったく忙しい。
公民館の楽屋に行くと、『めでたい節』のメンバーが集まっていた。お化粧はこんな感じでいいのか、という話をしているうちに、カネコさんを先生にしたメイクアップ講座が始まる。みんなメイクをして来ているが、ちょっと手を加えてもらうだけで、ずいぶんよくなるのだ。
「うわぁ、ミラノコレクションみたい」
とヒロコさん。
それをきっかけに、
「私もミラノに連れてって!」
「私もミラノ!」
「私も行きたい!」
と順番待ちしてメイクしてもらう。なんだか楽しい。
祝賀会が始まった。おじい、おばあたちはおしゃれして、ひな壇に座っている。彼らたちが減ったせいで、主賓、来賓以外の席はだいぶゆとりがある。祝賀会はけっこう気合いを入れて準備していたので、どれだけ多くの人が集まるかと思っていたが、こんなものか。ただ毎年、おじい、おばあの家族から主催の婦人部にご祝儀があるらしく、そのために、お正月に次いで2番目ぐらいにきちんとした会に位置づけられているのだ。
そのころ楽屋は騒然としていた。エイサーをやる子どもたちに加え、ほぼ同じ数のお母さんが子どもに衣装を着せている。それ以外にも、出番が間近の婦人たちが着替えている。2カ所のドアを開けて大きな扇風機をまわしているが、熱気むんむんだ。
会も終わりの方にさしかかり、やっと私たちの出番になった。『浜千鳥』は紺絣を着て紫帯のハチマキを長くたらすのが定番だ。ただリボン結びにすればいいのかと思っていたが、やはりコツがあるらしい。キョウコちゃんに結んでもらうと、しゃきっと美しく仕上がった。
舞台での踊りは、いつもよりちょっと緊張していた。一瞬にして踊りをすべて忘れた気がしたが、ほかの人を横目で見ながらなんとか乗り切った。途中でヒロミさんの夫、ススムさんがハナキンと呼ばれるおひねりを投げてくれる。毎日頑張って稽古していた私たちへの、ご苦労様の気持ちだろう。
「婦人が踊ってハナキンもらえたのなんて、はじめてじゃない? すごいわね」
とあとでタナカさんがほめてくれる。これまでいつも同じ踊りだったので、おひねりは来なかったのだろう。踊り終わった直後にムツミさんの夫、ミネさんが入ってきた。仕事が遅くなったようだ。ハナキンをポケットに入れて来たらしいので、間に合っていたらおひねりはふたつだったはずだ。
踊り終わり、着替えて客席の方に行くと、
「踊り、上等だったよ」
とカンコーおじい。ウホのおじいも
「よかったよ」
とほめてくれる。うれしい。祖納に引っ越していったキヨも見に来ていて、
「チナミ、沖縄の女になってきたね」
という。そんなふうに見えるのかな。お正月に『めでたい節』を一緒に踊ったユキちゃんも、
「上手だったよ」
とほめてくれた。
ところが、あとでビデオを見ると、
「あちゃー」
全然なっていない。動きが小さかったり、逆に大げさなところがあったり。思っていたイメージの半分ぐらいしか踊れていない。よくみんなほめてくれたものだ。やさしさに感謝だ。
祝賀会のあと、5時からブガリ。一大イベントが終わり、ほっとする。家に帰ると8時だったので、急いでしたくて温泉へ。ひとり静かに2次会だ。今夜はまともな時間に眠れるかな。