7月23日(土) 晴れ
夕方、泳ぐ。
台風直後の水曜日は水が冷たかったが、昨日はやや温かく、今日はもっと温かい。
ウミショウブが満開のようで、水面に白い小さな花がたくさん浮いている。それはそれは美しい……といえたらいいが、発泡スチロールの細かい粉が浮いているようにしか思えない自分の感性が悲しい。
7月24日(日) 晴れ
沖縄本島へ。名護のゲストハウスにいたら、浜でバーベキューをしていたグループのひとりに声をかけられる。
「そこのネーネー、ちょっとちょっと」
私のこと? と思って近づくと、
「まーまー1杯」
とビールを手渡され、いつのまにかご馳走になることに。
勧めてくれたのは、30歳ぐらいのマナブくんという男の子。かなり飲んでゴキゲンのようだ。
「癒しの島、とかいうでしょ。内地の人は沖縄のことを」
――まあ、そうかな。
「オレね、いいたいことあんだ」
――なんでしょう。
「癒されたいとかいって、みんなドロドロしたもの引きずってやってくるでしょ」
――そうかもね。
「確かに……確かに沖縄にはそういう、癒せるパワーってあるよ。でもね、なん百万人もの人が持ってきたドロドロを、わーってお焚き上げできるかっていうと、そうじゃないと思うわけよ」
――なるほど。
「そんなにいっぱいの人がドロドロを持ってきたら、沖縄にもたまっていくかもしれないじゃない」
――確かに。
「癒しの島とかいうけどさ、沖縄は自殺率も高いわけ。よその人が持ち込んだドロドロに反応して、自殺しちゃうヤツもいると思うんだよね」
――う〜ん、難しいね。
突然発展した話だったが、彼のいいたいことはなんとなく理解できた。そしてそうしたものの見方を、おもしろく感じた。
――じゃあさ、どうしたらいいの?
「内地から来る人はさ、少なくとも、よその土地に足を踏み入れているんだ、という自覚を持ってもらいたい」
マナブくんは「よその土地に足を踏み入れているんだ」というところで、両手を胸の前で合わせ、軽く頭を下げた。観光客に謙虚な気持ちを求めているのだろう。
「たまにさ、ほら、予習してくる人いるわけ。そんで変な幻想持ってきてるの。街にはどこでも三線が流れてるとか……飲みにいったらみんな親切で泡盛おごってもらえるとか」
――ははは。そういう人もいるんだ。
「たまたまそういうことになった、っていうならいいけど、最初からそれを期待していたらブーだね」
今度は「ブー」のところで胸の前で大きな×を作ってみせた。
「まあ、でも、けっこうそういうことになっちゃったりするんだけどね」
しゃべりながら、さらに飲んでいたマナブくんは、持論を展開し終わるころには、かなりろれつが怪しくなっていた。
「わかるかなぁ、オレのいいたいこと」
――わかる。よくわかる。
「さーさー、おねえさん、もう1本飲んで!」
――……。