2月13日(日) 雨
「ヤマシタさん、キャベツいらんか?」
ノボルおじいがやってきた。次の作物の土作りをするので、今なっているキャベツを好きなだけ持っていっていいという。さっそく大きなカゴと包丁を手に、三好さんとキャベツをもらいに行く。
広い畑には、キャベツがまだいっぱいあった。ちゃんと数えていないが100コはありそうだ。
「どれでもいいの?」
半信半疑で聞く。まだ出荷するのもあるんじゃないか。そんな風景だ。
「いいよ、どれでも」
全部いらないらしい。キャベツはよく見ると、やや小さめだったり、外側が虫に食われていたりしている。しかし2〜3枚むくと無傷で、なんの問題もなかった。
手近なキャベツを包丁で根元から切り収穫していると、信じられないことに、畑の端からのぼるおじいが耕耘機をかけはじめた。キャベツがどんどんつぶされていく。
「ひえ〜もったいない!」
早くとらないと! あわてて収穫していく。こうなったら、いいものをできる限り救おうと端からカゴに入れていく。10コほどとって満足した三好さんが引き上げる後ろ姿が見えた。
70コぐらいとったところで一段落。ノボルおじいからもカゴを借りて、家に持って帰る。
「さあ、配るぞ!」
これから配達だ。
のぼるおじいにも「他人にあげたら喜ばれるのに」と勧めたのだが、
「変なものはあげられないよ。こんなものくれて、っていわれるから」
という。そんなことは決してないと思うが、カツオやマグロを丸ごと1本、2本配って歩く太っ腹なノボルおじいなので、虫食いキャベツをあげるのは失礼に感じるのだろう。
キヨキヨを誘い、まずは干立の中から訪問。配りはじめてまず驚いたのは、昼寝をしている人の多さだ。「こんにちは〜」と声をかけると、「……はーい」と眠そうに出てきたり、眠ったまま返事がなかったり。雨の日曜日の午後なんて、昼寝にぴったりすぎるのだ。
キャベツのおすそわけはみんなに喜ばれた。代わりにダイコンをくれたり、お菓子をくれたり、お茶をご馳走になったり。私のような第三者が「ノボルおじいからのおすそ分け」といった方が、ノボルおじいが直接持っていくよりもらいやすいのかもしれない。私もあちこちでミニゆんたくできで、楽しい午後になった。
2月14日(月) 晴れ
昨日の続きでガソリンスタンドのチュウニイにキャベツを4個あげたら、
「ガラスの浮き球持ってっていいよ」
という。うそ! 信じられない。
この間、三好さんをチューニイの家まで送っていったとき、玄関の外に置かれたビンダマを見つけた。状態がよく、ガラスがとてもきれいだったのでほしくなり、やまねこマラソンの帰りに「ビンダマちょうだい」とねだったら、
「ポカリスエットのペットボトルを10本くれたらいいよ」
といわれた。手にしていたペットボトルは10本。あげてもよかったのだが、もらったばかりのものを全部手放す気前のよさが、私にはなかった。その結果、どう考えても私に有利な物々交換は成立しなかったのだ。
ペットボトルなんてどれだけあげても、ゴミ捨て場に行けばいくらでもきれいなのが捨ててあるのだ。ビンダマと交換しておけばよかったなぁと後悔したが遅かった。
しかし今日はキャベツ4個でビンダマをくれるという。しかも私があげるのは人にもらったキャベツだ。悪いなぁと思いながら、ありがたくもらうことにした。うれしい! ちょうだい、っていってみるものである。
それにしてもチューニイは人がいい。ほしいといわれると、なんでも気前よくあげてしまう。ガソリンを入れに行ったとき、細かいお金が足りなくて「3円まけて」というと「いいよ〜」と即答されたこともあった。チューニイには今度なにか、もっといいものをあげなくては。