1月25日(火) 晴れ
日米インタープリター研修会というものに行くことにした。ここでいうインタープリターとは語学の通訳ではなく、エコツーリズムのガイドのこと。自然の中に観光客を連れて入り、「これは○○です」と植物や動物の名前を教えるのは単なる説明だ。そうではなく、いくつかのポイントを案内することで訪れた人になにかを感じ、考えてもらう。そこで得た物の見方を、ほかの場面でも生かしてもらう。そういった学びや気づきのある案内をすることをインタープリテーション、ガイドをインタープリターと呼ぶらしい。
西表に住むまで自然にまったく関心がなかった私だが、これだけ自然があたりまえに身近にあると、誰でも知っている植物、動物の名前はいやでも覚えていく。そしてこれだけ“エコツーリズム”が盛んで、身近にカヌーやダイビング業者の知り合いなどもいると、どうしてもエコツーリズムに関心が向く。その結果、西表島エコツーリズム協会の賛助会員になったりしたのだが、どうしてもわからなくて、以前から知りたいと思っていることがあった。
「エコツーリズムってなに?」
ということだ。
インタープリテーション協会というところが主催するこの研修は、今回で10回目である。5年前、屋久島で行った以外は、毎年、アメリカの国立公園を会場に、現地でレンジャー育成を行っている人たちを講師に研修を行ってきたらしい。10回目の今年は特別に講師を招き、日本で開催。会場は沖縄本島、ヤンバルの奥だ。
この研修に行けば、エコツーリズム先進国の講師から、「エコツーリズムとは」とか「環境教育とは」という話を聞けるんじゃないか。このプログラムを知ったとき、なんだかよくわからないけどとにかく行ってみよう、という気になったのだ。
思い立ったのが数日前。申し込みをすると「定員オーバーでキャンセル待ち」といわれたのを「取材ということでなんとか……」と強引に入れてもらう。取材といってしまったからには、掲載させてくれる媒体を探さなくてはいけない。ばたばたと連絡をとり、手はずを整えあわてて船に乗る。飛行機だと那覇まで片道一万1万5000円ぐらいかかるが、船だと5860円だ。
船旅は去年の夏、経験済みで、快適なことを知っている。冬は海が荒れやすいので、しけて船酔いすることだけが心配だった。
ところが、案内された「わかなつおきなわ」の2等客室は、同じ値段の「飛龍」の客室と全然違った。
以前乗った飛龍は二段ベッドで、カーテンを閉めれば自分だけの空間が持てた。しかしわかなつの二等和室はパンチカーペット敷きの床に雑魚寝。部屋には窓もなく、外が見えないばかりか先に乗船したバックパッカーたちが持ち込んだ弁当などの臭いがこもっている。これはちょっとつらいかも、ということで、500円足して2等洋室に変えてもらった。やっと飛龍並になったが、わかなつのほうが高くつくのはどういうことだ?
午前11時半に石垣を出た船は、夕方4時半ごろ宮古に到着。8時の出港まで島をぶらぶらしてビールを飲み、ビーチサンダルを買う。はじめて上陸した宮古島は、テレビのニュースで見たまんまだった。リゾートエリアの様子はわからないが、港の近くにある商店街の感じや店の品揃えは、さびれた内地の地方都市みたい。石垣島ともだいぶ様子が違う。
船を下り、宮古を一緒に歩いた女の子は、住んでいる久高島の話をしてくれた。沖縄本島の南部沖に位置するこの島は、神の島とも呼ばれている。そのため西表では考えられないような集団がやってくるらしい。
「新興宗教の人とかが多いんですよ。島に着く船から白装束で下りてくるとか。『ここはアダムとイブが出会った聖なる場所だから』って、岬で夜通し裸で踊っていたり。『聖なるハーブティーをどうぞ』って勧められたこともあるけど、気持ち悪くて……」
岡本太郎が感銘を受けた島としても有名な久高島、一度行ってみたいと思っていたが、ますます興味を持った。
1月26日(水) 晴れ
午前5時半、那覇到着。6時ごろ下船となる。外はまだ真っ暗。久高島の女の子と私、同じ船だったおばさんと3人で白タクに乗る。
奥の研修会場まで、主催者の人たちが移動する車に乗せてもらうことになっており、待ち合わせのホテルに行く。いくらなんでもまだ早いので、コンビニで買い物をし、ロビーで朝ご飯。ゆっくりお化粧をしても、まだ8時前だ。どうしよう、眠くなってきた。
主催者のコバヤシさんに電話すると、
「われわれは昨日遅かったので、11時出発予定です」
ガーン。まだ3時間もある。
インターネットカフェで少し寝ようかと思ったが、ここは安宿天国の那覇。町をさまよい、1泊980円の宿を見つけて仮眠する。5時半から起きていると1日が長い。
1月27日(木) 晴れ
研修会初日。北は青森から南は西表まで、集まった研修生は60人。東京近郊からの人も多いが、地元沖縄や奄美、屋久島からからの参加者もいる。環境省や那覇市、各地のビジターセンター職員から、エコツアーガイド、ライフセーバー、環境ボランティアまで、仕事はさまざま。しかしみな自然が好きだったり環境問題に興味があったりして、実際になにか自然に関係のある活動をしているようだ。
最初の授業はアメリカの国立公園の歴史など。今日は座学が多く、眠かった。
宿泊は「やんばるの里」。地元公民館が運営している宿泊施設だ。自炊のためのキッチンがあったり、テラスでバーベキューができたりする。なかなかよい。
やんばるの里では茶摘み&焙煎ツアーなどをやっていて、以前から取材でお世話になっている。管理人の方とも知り合いだ。そのためアットホームな気分。同室の人たちもみなユニークで楽しい。