11月17日(水) 晴れ
朝4時、公民館集合。いつも時間通りに人が集まらないので4時半に行ったら、ほとんどみんな4時から来ている顔で働いていた。やばいやばい。
こんなに早朝に集まるのは、髪を結うため。全員の髪を結うのに、2〜3人ずつやっても3〜4時間はかかる。祭は奉納芸能のヤフヌティ、そして船漕ぎで始まるのだが、船漕ぎは満潮時間に合わせて決まる。そこから逆算して髪や衣装の準備を考えると、今年は午前4時集合になった。夜中に結って朝まで寝ちゃいけない、という年もあったらしいので、少しはマシだが眠い眠い。
髪結いをしながら、手があいている人は料理にまわる。それでも8時半にはいったん家に戻り、着替え。公民館集合は9時半だ。
私は今年、どうしてもやりたいことがあった。御嶽に御神酒やらお供えのスズリブタやらを持って上がる役目だ。船漕ぎが始まる前までに、4カ所ある御嶽ではそれぞれの司とその家族が神様にお祈りを捧げる。干立でいちばん重要な御嶽は山の中にあるのだが、そこでのお祈りを見てみたかったのだ。
お供えを持っていく人は、特に決まっていない。司がそれぞれの御嶽に行ったら、後を追うように、そのとき手のあいている人がお供えを持っていくよういいつかる。司が出ていくのはなん時とは決まっておらず、タイミングを見るのが難しい。「いま持っていけ!」と指示を出すヒデコさんに「私にやらせてくださいね」と頼んでおいたが、気が短いヒデコさんのこと。私が見あたらなければ他の人にやらせてしまうことは明らかだった。
厨房の仕事をしながら、気もそぞろに外の様子をうかがっていると、
「これを御嶽に持っていけ」
とヒデコさんが指令を出した。
「着物じゃダメ。普通の服で、長靴はかないと」
スディナのすそをふんで御神酒やお供えを落としては大変だからだ。
そばにいた女の子とふたり、車で御嶽の下まで行く。滑らないように、転ばないようにと緊張しながら、一段一段ゆっくり石段を上がっていく。
私たちの姿を見て、司の後ろに座っていたナリコさんが文句をいった。
「なーにあんたたち、そんなかっこうで!」
神聖な場所に来るのだから、正装してお化粧して来なきゃダメでしょ、ということだ。干立はこんなふうに、人によっていうことがバラバラなんである。
お祈りが始まった。森の中の御嶽というのは、また風情があっていいものだ。司のファミリーに混じってスズリブタのごちそうをもらい、御神酒をいただく。こういうプライベートな時間が持てると、節祭がもっと特別なものに感じる。
9時半、公民館に集合。祭の衣装を着て、きちんとお化粧をすると、みんなキリッとして見える。麻のスディナも着ていて気分がいい。昔は浴衣など、それぞれバラバラの着物を着ていたそうだ。節祭は平成3年に国指定の重要無形民俗文化財に指定。それだけがきっかけかどうかは聞いていないが、衣装をそろえ、髪もカンプに結うようになったらしい。
船の抽選などを行い10時半に公民館出発。去年は緊張していたし、進行もわからずいっぱいいっぱいだったが、今年は節祭を楽しむ余裕がある。少し寝不足だけど、元気がみなぎっている。
11月18日(木) くもり
ウイヌカー儀式。昨日とはうって変わり、よく見るとみんないいかげんなかっこうをしている。ナリコさんはスディナの下に着たピンクのTシャツが襟元から見えている。カカンでなくスディナの下にジーンズをはいてきたのはユキちゃんだ。
「ピンクのTシャツなんて着ちゃって」
「あんたこそジーンズはいているでしょ」
と、笑いながらけなしあっている。
ウイヌカー儀式の日は、髪を結わなくてもいいとは聞いていたけれど、みんなけっこうやるなぁ。
キヨキヨはハイカラさんのようにカカンを短めにはいていた。
「泥が跳ねるといやじゃない。シミになるから」
確かにそうだ。私もアダン葉ぞうりをやめてスニーカーにする。みんなこんなだとずいぶん気楽でいい。
ウイヌカー儀式のあと、午後は旗頭を揚げての村清め。ガーリーをしながら一緒にまわる。夕方は公民館で打ち上げ。今年も無事に節祭が終わった。