10月17日(日)・19日(火) 「絶不調」 晴れ一時強風、大雨/台風

10月17日(日) 晴れ一時強風、大雨

 3日前、木曜の朝からなんとなく体調が悪かった。のどが少し痛くて、痰がからむ。昼寝をしたらよくなった気がしたので、お風呂に入り髪を洗ったのがいけなかったのかもしれない。その日の夕方にはのどの痛みは悪化。カゼをひいたなぁという感じがした。

 金曜日は1日床につき、もうよくなるだろうと期待していた土曜朝には頭痛もしたので診療所へ。しかしもらった薬はほとんど効かず、深いところで熱を持ったのどの痛みと止まらぬ咳をかかえ、今日もベッドで苦しんでいた。

 夕方5時半ごろ、トイレを出て部屋に戻ろうとしたとき、チョータローさんがやってきた。赤い自転車を降りると、ビニールの買い物袋を下げ、曲がった腰でこちらに歩いてくる。
「元気かぁ?」
 めがねの奥の目がニコニコしている。私がだまって首を横にふると、
「はい、これ」
 ビニール袋をくれた。
「港で三好さんに会ったらよ、カゼひいて寝込んでるっていうから、お見舞い持ってきた」
 中身は、のりの佃煮、かつおのふりかけ、梅干。グレープフルーツ2コにシフォンケーキとバナナケーキも入っている。

「リンゴないかなぁと思ったけど、スーパーには古いのしかなくてよ」
 わざわざスーパーで買ってきてくれたのだ。しかもこんなにいろいろ。
「ありがとう。もう3日も寝ているんだけど、よくならなくて」
「いまごろひくカゼは強いのよ」
 そういって、チョータローさんは「寒露のタカ渡り」という言葉を教えてくれた。節気の10月8日は寒露である。秋を呼ぶ季節風が吹きだすと冬型の天気に変わり、カンルーヤブリ(寒露荒れ)といって海は大シケとなる。天候は急変し寒暖の差が大きく体調を崩しやすい季節だという。

寒露のころには、サシバというワシタカ科の鳥が渡ってくる。
「この鳥が強〜い菌を一緒に運んでくるのよ。だからこのころにひくカゼは、なかなか治らないの」
秋を告げるサシバがもたらす強烈な菌に私もやられたのだろうか。ちなみに、サシバの渡りは1907年から観測されており、最も早い年で10月5日、遅い年では20日。平均すると10月11日あたりだという。私は14日に発症しているので、時期的にはぴったり。タカ渡りのころにはカゼ(パナスク)をひきやすいのでご用心、という「タカヌ・パナスク」なんて言葉もあるらしい。すでにひいている人は……体を休めるしかないか。 


参考文献:『八重山の自然歳時記』(大仲浩夫著、南山舎刊)


10月19日(火) 台風

目が覚めたら午前中が30分しか残っていなかった。午前11時半。強風で外はゴーゴーいっているが、雨はほとんど降っていないようだ。遠ざかりつつある台風。低気圧だとよく眠れる。

チョータローさんから電話があった。
「おいしいもの作ったから、鍋持っておいで」
ゲホゲホしながら車で駆けつけると、大鍋から熱々のソーキ汁とカゼの特効薬をくれた。フーチバー、ショウガ、黒糖の3点セットだ。
「フーチバーは洗ってあるからよ、ショウガを刻んで、黒糖も一緒に全部をぐつぐつ煮るの。これを1日3回、コップに2杯ずつ飲むと汗がばーっと出てカゼが治るよ」

 体調はほんの少しずつしか回復せず、いまだに寝たり起きたり。まだ普段の6割程度しか戻っていない。幸い食欲は落ちていないので、温かい汁ものが食べられるのはうれしかった。

夜は4日休んだ踊りの練習に復帰。体調が十分でないので不安だが、行かないともっと不安になるので出かける。数日間、歩くことすらほとんどなかったから、体を動かすのが辛い。腰や足首が痛く、まだ不調なのがわかる。

見学だけにしておこうとラジカセの操作係をやっていたが、見ていると踊りたくなった。しかししばらくするとセキが出はじめて止まらない。ほかの人の踊りは動作がゆっくりして落ち着きを帯びてきている。踊りをおぼえたために、音楽に合わせようというあせりが抜けたのだろう。堂々とした感じだ。私の踊りもゆっくりしているが、それは体調不良のせい。


top > イリオモテヤマオンナ日記