今日は踊りの稽古を5時間半もした。夜、家に戻ると、もう腰が痛くて立っていられない。
稽古をはじめて6日目、昨夜のこと。練習が終わり帰り支度をしていると、婦人部長のカヨコさんが私にいった。
「踊りについていけないようなら、別にイーアール節とか簡単なのもあるから。大舞台だし、先輩の目もあるからねぇ……」
さりげないいい方だが、できないなら降りてもらうとはっきりいわれた。
それまで6日間の練習は、苦痛でしかなかった。夜8時半から11時か11時半まで。先生の踊りを正面から撮ったビデオを、みんなでひたすらまねて踊る。しかし正面から撮ったビデオでは左右が混乱するのだ。だれもやったことのない踊り。みんな同じように苦労していた。それでもほかの人たちは、「この部分はあの踊りと同じ」というパーツを見つけては自分のものにしていく。基礎がない私にはそれができない。10分おきに時計を見ては、ため息をつくのだった。
「そうよ、昼も夜も練習しないと間に合わんよ!」
カヨコさんの言葉を受けて、踊りの名手、ナリコさんも追い打ちをかける。
「カネコさんなんか『目出度節』やったときは、昼も毎日練習してたよ。(私が)つきっきりでやらないとおぼえられんよ」
カネコさんというのは干立と東京を行き来する女性で、先日行われた敬老の日の祝賀会では地元の『目出度節』を披露。踊りデビューを果たしたらしい。ひたむきな彼女は発表会に向けて猛練習したのだろう。私もそのうち昼も練習しなくてはと思っていたのだが、そろそろ始めるタイミングかもしれない。
今朝は6時ごろ目が覚めた。昨日も練習から帰ったのが夜中の12時前。もう少し寝ていたいが、緊張のせいか寝られない。夜中も3時間おきぐらいに目がさめたうえ、夢の中でも踊れずに悩んでいた。こうなったら起きてしまおう。『干立口説』の歌詞を取り出しおぼえることにする。
午後の練習は2時から。ナリコさんがつきあってくれる。昨日は怒ったような剣幕だったが、1対1で踊りを見てもらうと、丁寧に教えてくれた。
「昨日はどうなるかと思ったけど、練習すれば大丈夫じゃない?」
ビデオを見て身につけるのではなく、直接ちゃんと教わればできるような気がしていたのでうれしい。明日からも気合いを入れて練習しよう。