台湾に行くことにした。石垣から船が出ているのだ。近くの台湾に船で渡ったら、近さが実感できるのではないかと思った。
時期はいつでもよかったが、この時期なら原住民の豊年祭が見られるという。
「すばらしいものだよ。西表のシチに匹敵するぐらい」
知り合いの学者が力説するので、だんだんその気になってくる。
「本当に行くなら、現地の研究者を紹介するけれど」
そこまでお膳立てしてくれるのだ。行かないなんてもったいない。
最初は6日の基降行きを予約したが、仕事が終わらず出発を延期。今日、10日の高雄行きにした。基降なら7時間15分だが高雄へは16時間。夜中はどこかで停泊するらしいので、まっすぐ行けばもっと早いはず。しかし16時間というのは、近さが実感できるのか、できないのか?
朝からバタバタ準備して、11時の船でやっと西表を出る。旅立ちのときはいつもこうだ。性格なのかなぁ、イヤになる。どうしても見つからなかったアーミーナイフ以外完璧と思ったが、石垣行きの船が出たとたん、化粧水を忘れたことに気づいた。やれやれ。
高雄行きの「飛龍21」は予想に反して豪華客船だった。与那国行きの船が、床に雑魚寝で毛布が用意されているだけ、という状態だったので、そういう覚悟をしていたのだが、まったく違う。レセプションのあたりは吹き抜け。レストランとラウンジからは海が見える。二段ベッドが並ぶ2等船室は、きちんと整えられていて明るい。トイレもシャワー室も清潔だ。
「まったく問題なし!」
と思ったが、寒がりの私にはひとつ問題があった。冷房が効き過ぎなのだ。
でも大丈夫。そんなこともあろうかと準備している。タンクトップ、長袖Tシャツの上にフリースを着て、首からタオルを巻き、帽子をかぶる。シルクのパンツの上にスカートを重ね、靴下に靴。おまけに自前のフリース毛布。これぐらいでちょうどいい。
お客さんは意外と少なく、15人程度。日本人と台湾人が半々ぐらいだ。日本人は旅人という感じで、台湾人は商売人の常連さん風。台湾から食料品や漢方薬などを運び、台湾へ日本のモノを持ち出し売る人たちだ。私はひとり旅の女の子とふたりで、ベッドが6つあるセクションに入れられた。
「あー、疲れた〜」
さっそく横になり、少しまどろむ。いつの間にか熟睡し、目覚めたときには出港していた。最近の船は出港のときに汽笛をならしたりしないんだな。
シャワーを浴びてレストランで夕食。トラックごと台湾に荷物を運ぶ途中、というお仕事で乗船している日本人2人組と話をする。
食後またすぐ寝た。揺れない船ではよく眠れる。