5月7日(金) 「パーティ」 雨のちくもり

大量の島らっきょうをむき、海でモズクを採って洗い、ペットボトルに詰めて郵便局に出す。それを朝から3回繰り返し、もうへとへと。船浦まわりが運航のとき、島を出る郵便は1日3便ある。今日は金曜日。ひとつでも早い便に乗せて内地へと送り出したい。そうじゃないと、島らっきょうが冷蔵庫の中でぐんぐん芽を伸ばしてしまう。

らっきょう&モズクとの格闘を終えたあと、4時過ぎからパーティの準備。となりのクラタくんが西表を出るので送別会。そして、ついでに私の誕生会も1日前倒しでやろうということになっていた。

ツナを入れたマヨネーズ味のパパイヤサラダには、庭のトマトと万能ねぎで彩りを添える。あとはモズクの天ぷらと島らっきょうの天ぷら。魚のホイル包みもダッチオーブンでやる。そして缶ビールを1ダース提供。ま、私はこれぐらいやればいいだろう。

三好さんは久々の宴会のために、数日前から張り切っている。まず釣りに行き、グルクン20〜30匹を手に入れてきた。それからイチローさんを道連れに、庭の草を刈った。今日は朝からガラクタを1カ所にまとめ、テントをピンと張り直し、イスを並べ、会場を整えていた。

「これはなんだ? 池坊か? 草月流か?」
三好さんの声がする方を見ると、テントのテーブルに置かれたコーヒーの瓶に、ゲットウの花が挿してある。
「三好さんが活けたの?」
「ああ」
「けっこううまいじゃん」
 葉と一緒に入れてあるだけなのに、なかなかバランスがいい。
「花はいちおう、イチローさんからキミへのプレゼントらしいぞ」
 まあ、イチローさんたら、と思って探すと、離れたところで草を刈っていた。そういうことを自分から語らないのがイチローさんなのだ。

「おい、チョータローさんも呼んどってくれよな」
三好さんが私に念を押す。郵便局のそばに住むチョータローさんの家には、今日も朝からゆうぱっくを出すたび寄ったのだが、いずれもお留守。たぶん漁に行っているのだろう。しかたがない、もう一度行くか、と車で出かけると、ちょうど家を出るチョータローさんに出会った。釣った魚を売りに行くところらしい。

「今日、うちでパーティするんだけど、よかったら来てね」
「なん時から?」
「夕方。6時か7時ぐらい」
ふーん、といったチョータローさんは、クーラーボックスから、釣ってきたばかり、おろしたてのカツオの刺身を取り出した。
「じゃこれ、持って行っといて」
大きな半身を3つ。1匹半分のカツオだ。
「いいの? ありがとう!」

カツオの刺身を手に戻った私を見て、三好さんが驚いている。
「それ、誰から?」
「チョータローさん」
 ちょうど売りに行くところだったらしい、というと、
「さすが、電話1本で仕事をする人は違うなぁ。嗅覚があるよ」
 ふん。電話1本じゃないわい。

結局、15人ほど来てくれたパーティには、大変なご馳走が並んだ。三好さんが作った島バナナのフライ、ちらし寿司、貝のおみそ汁(貝は浜で採ったもの)。イチローさんの畑から来たパパイヤと島らっきょうは、サラダと天ぷらにに。差し入れはカツオの刺身、カツオ丸ごと2匹、タコの酢の物、高校生(白い線が入った魚。白線流しの伝統から名前がついたらしい)、焼き鳥、タンなどの肉類。そのほかもずくの天ぷら、魚の唐揚げ、ホイル包みなどもある。デザートはジェラード。昨年イチローさんにもらったパインを少し解凍しフードプロセッサーにかけたら、とてもおいしい氷菓ができた。

すごいのは、肉以外、ほとんど全部、海や誰かの畑でとれたものだということ。西表、やはり恐るべしなのだ。


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