このところ、夜になると必ずゴキブリが出る。しかもなん匹も。ぶんぶん部屋を飛び回るのだ。
昨年はこうではなかった。
「ゴキブリって、意外といないもんだなぁ」
と感心していたぐらいだ。用意したアメリカ製の強力殺虫剤はほとんど出番がなく、たまに壁をはうゴキブリを見つけると、丸めた新聞紙で叩いていた。
それなのに、なぜ今年は様子が違うのだろう。
食事の後片づけが終わり、ほっと一息ついたころ、ヤツらは出動する。おとなしく壁に張りついているならまだしも、壁から壁へと縦横無尽に飛びはね、暴れ回る。どこかに止まったら殺虫剤を、と忍耐強く待っていると、私の思いを察してか、こちらに向かってくる。ひえ〜。そんなことを書いている今も、一匹部屋を駆けめぐっている。
ご近所のマサコさんは、もうあきらめているらしい。
「500年、いやもっと前から彼らはこの島にいるのよ。後からきた私たちが、彼らの場所に住まわせてもらっているの。そう考えたらありがたくなったわ」
しかし凡人は、なかなかそこまで達観できるものではない。
向かい来るゴキと格闘の末、毎日2匹は殺戮している。しかし翌日も、その翌日も、やはり2〜3匹、現れる。ホラー映画のように、日々増えるわけではないのが救いである。
「でもなんでだろう?」
と考えながら、屋外のトイレから部屋に戻るとき、あ然とした。ドアにつけた網戸の外に、どこから来たのかゴキブリがなん匹も、ペトッと張りついている。網戸は内開きである。部屋に入ろうとすると、ゴキブリも一緒に招き入れることになるのだ。
思い返せば去年は、婦人会で作ったホウサンダンゴを4月にいただいた。
「こんなの効くのかな?」
と半信半疑でいたが、あれがよかったに違いない。そうだ、ホウサンダンゴを仕掛けよう!
「あら、でもホウサンダンゴはゴキブリがふ化する前、3月、4月にやらないと意味がないのよ」
とマサコさん。5月も半ばになろうとするこの時期では、もう遅いらしい。
しかしなにもしなければ、毎晩ゴキブリと、無意味でエンドレスな戦いを繰り広げなくてはならない。それはイヤだ。
結局、フーミンちのトーサンに、石垣でホウサンダンゴを手に入れてもらった。ひとつひとつがプラスチックの容器に入ったやつだ。さっそく袋から出したら、甘い香りがした。「ジャム入り」と書いてある。いちごジャムなのだろうか?
これでもゴキが減らなかったら、バルサンだろうか? おおごとだなぁ。森の中に積み木を置いたような、とってもアウトドアな家なんだけど。それでもバルサン効くのかな? 悩ましいなぁ、この夏は。