4月29日(木) 「西表石けん事情」 晴れ

廃油石けんの件で東部の作業所を訪問する前に、連絡を取ってみたい人がいた。東部に住むナオミさんだ。

ナオミさんは西表島の環境問題に積極的に取り組んでいる人である。焼却炉がなく野焼きにされるゴミ、下水設備がなく海に直接流れていく生活排水。それでもまだ西表の海は美しく、少なくなったとはいえ魚も捕れるが、このままでいいはずがない。近い将来、目に見えて環境が悪化することは想像がつく。詳しく聞いたことはなかったが、彼女はそのために、さまざまな活動をしているようだった。

廃油粉石けんのプロジェクトを聞いたナオミさんは、こういった。
「私たちもね、そういうことはすでに東部でさんざんやってきたの。でもダメなのよ」
 7年ぐらい前、八重山育成園が美ら島せっけんを作りはじめたとき、喜んで飛びついたという。そのとき、島の環境問題に強い関心がない人も、「石けんを替えることで水の汚れが減るのなら」といって使ってくれたそうだ。しかし、ひとり、ふたりと使用をやめ、いまでは「誰も見向きもしない」という。環境に関心がある人は、廃油を原料としない生協の粉石けんを使っているようだった。

「いろいろあるのよ、問題点は。冬は水溶けが悪いからお湯で溶かす、その手間が面倒だとか、石けんカスが排水パイプを詰まらせるとか」
廃油石けんを使うと排水パイプが詰まる、という話は聞いたことがあった。本当にそうなのか? なぜそうなのか? 廃油以外の環境にやさしい石けんはどうか? など、どこかに確かめてみなくてはと思っていたが、まだ聞けていない。

「あと、蛍光剤が入っていないから、洗い上がりが真っ白にはならないのよね。運動会見てると、うちの子だけ体操着がくすんでるの(笑)」
 それはネックだ。宿などはシーツを真っ白に洗いたいだろう。

 ほかにも、「安くない」とか「手が荒れる」といった周りに意見を教えてくれたが、どれも解決できることに思えた。市販の石けんは安くないかもしれないが、このプロジェクトではほとんど儲けがないくらいの値段設定にしたらいい。手が荒れるのは、自分たちで作った石けんをカセイソーダのアルカリ分が飛ぶ前に使うからで、十分寝かせば問題ないだろう。

 本当に引っかかったのは、石けんかすのこと、真っ白に洗えないことだった。本当にそうなのだろうか。それをクリアできる廃油石けんはできないのか。
「でもね、廃油石けんって合成洗剤よりはマシだけど、本当はどんな石けんはも使わないに越したことはないのよ」
いわれてみれば、そうかもしれない。

「あそこの作業所はね、いま、食べ物関係のプロジェクトに興味はあるみたいだけど、石けんはどうかしら?『いまはちょっと手一杯です』っていわれるか、『やりましょう』ってなるか。一度訪ねてみたら?」

 そうしよう。そして並行して、ほかの方法も模索してみよう。


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