石けん作りを始めることにした。廃油のリサイクルだ。
数年前、自分が記事を書いていた女性誌に、手作りコスメの特集があった。ちょうど健康オタクになりかけていて、余波で添加物などが気になりだしていたころだ。ゆずの種と日本酒、ドクダミと焼酎などで化粧水を作ったり、蜜ろうをホホバオイルで溶かしハンドクリームにしたり。さらにのめり込み、手作りコスメの本を買い込んでなにやらいろいろ作ってみた。いくつかは使い心地がよく、いまだに市販の基礎化粧品と併用していたりする。
その中でひとつだけ、試したいのに尻込みしたものがある。石けん作りだ。ガラス製の器具を用意したりするのもおっくうだったが、材料のひとつ、苛性ソーダが怖そうだ。それに、大量に石けんができても使い切れない。ココアやココナッツミルクを使い、おいしそうにできた石けんの写真を、うらやましげに眺めるのが精一杯だった。
ところが干立では婦人会で廃油石作りをやっていた。手にやさしく、私もほしいと思っていたが、作るのは年に1度。なんとか自分でやりたいと思っていたところに「石けん職人(?)を探している」との情報をキャッチ。「私がやります!」と作ることになった。できた石けんはもちろん自分でも使うが、雑貨屋さんが販売用に買い取ってくれるという。一石二鳥だ。
廃油石けん作りには、もうひとついいことがある。そのまま流すと環境を汚す廃油が、石けんになり、おみやげモノとして買われることで島外に持ち出される。もちろん、廃油石けんは合成洗剤より環境負荷が低く、島の中で使ってもいい。目標は香りがよくお肌にやさしく、コストと手間をかけず簡単に作れる上等な廃油石けんである。
石けん作りのパートナーはフーミン。私は独身だが、お料理やモノ作りなどでとっても気の合う“主婦仲間”と呼んでいる。
お昼ごろ、あけぼの館で廃油と牛乳パックをもらい、フーミンちに寄る。ぞうすいをご馳走になったり、ビデオを見たりとだらだらしてから石けん作りを開始!
今日作るのはハイビスカスの石けんだ。メゾン三吉やフーミンちに生えているハイビスカスの葉を洗って刻み、ザルの上で乾かす。フーミンが工夫して用意してくれたペットボトルを切ったお道具などを使い、苛性ソーダを量り取る。市販の本にあるようなガラスの器具を使わなくてもできるのだ。それにしてもこの人はこういう工夫が本当にうまい。
浜に流れ着いたワックスが入っていたバケツに苛性ソーダを入れ、水を注ぐと煙が出た。うわー怖い。熱も出ている。
「かなり熱くなってますねぇ」
フーミンが感心したようにいう。バケツの外からさわってこの温度なら、中は50〜60度はありそうだ。
油を入れるとチョコファッジみたいな色になった。おいしそうだ。ビスケットを持ってきてつけて食べたい感じさえする。ぐるぐるぐるぐる……竹の棒を使ってかき混ぜる。おしゃべりしながらの作業がとっても楽しい。
「これが本当に白い石けんになるんですかね?」
それは謎である。
順番にかきまわしていると、キャラメルファッジのような茶色に変わり、少しもったりしてきた。かき混ぜ開始から30分経過。だるくなった腕を休め、葉を混ぜ込む。牛乳パックに入れてフーミン家の玄関に置かせたら、本日の作業は終了。意外と楽しく簡単にできたが、ほんとうに石けんができるのか? まだだれにもわからないのであった。(続く)