2月8日(日) 雨ときどきくもり 18℃
今日もロケ。魚の研究者・スズキさんをガイドに、干立の農道から浦内川の支流に入る。マングローブの根の間に、さりげなーく身を寄せたシレナシジミをいくつも見つける。膝根と同じ色をしているのでわかりにくいが、もうコツをつかんだので見分けられる。うれしい。
しばらく行くと、アダンがいっぱい生えた場所に出た。冬で少し枯れた風情のある群生アダンは、なぜかサボテンのように見える。メキシコをほうふつさせる光景だ。こんな場所が身近にあったことに驚く。
夜はアトクでイノシシ鍋。スズキさんが捕ってくれたガザミもある。毎日こんなに贅沢でいいのだろうか。
2月9日(月) 雨 18℃
雨ばかりで洗濯物が乾かない。そのうえ、毎日フィールドをうろつき汚れ物がどんどん出る。そろそろ晴れないと困るな。
昼前、ロケ隊を見送りフーミンちに寄る。私が忙しくしている間に石けんが固まり、切り分けてくれていたのだ。数日ぶりに見る石けんは、だいぶ白みを帯び、切り口から見えるハイビスカスの葉の緑がカビのよう。つまりブルーチーズ。とてもおいしそうだ。混ぜているときはキャラメルファッジで、固まるとチーズ。どこまでいっても食べ物に見えるのは、いやしいからか?
夜、フーミンちでシレナシジミ(*1)を食べることにする。
「1週間ぐらい砂抜きをしないと食べられないよ」
とか、
「バター炒めにしたけど、ゴムを噛んでるみたいで飲み込むタイミングがわからなかった」
とか、あまりおいしいという話は聞かない。だいたい、貝はあんなに大きいのに、中身はほんのちょっとだという。
マングローブに戻そうか? いや、やはりいちどは食べてみたい。
ということで、ただひとりおいしいといっていたスーさんに調理法を聞き、 フーミンの夫・トーサンが料理することに。
出てきたのは、かなり上品なお椀。蛤のお吸い物といった雰囲気だ。
「けっこう、中身、大きいですね」
とフーミン。確かに、思った以上に存在感がある。
一口いただく。うま〜い。貝も食べる、イケるではないか!
「香りも味もシジミだね」
クールにトーサンがいう。
シレナシジミをおいしく食べられたのは、トーサンの功績だ。小鍋に水を沸騰させ、貝を入れ口が開いたら取りだし、水で洗って泥やぬめりを取る。再びお湯を沸かし貝の中身を入れ、香りが立ったら8倍濃縮の「ヤマサ昆布つゆ白だし」を入れ、塩で味を補う。
「意外と簡単でしょ?」
とトーサン。私がマネをするのは簡単だが、最初に味付けのゴールデンバランスを生み出すのが難しいのだ。ちなみにコツは、中身を縮ませないよう貝をひとつずつ入れ、口が開いたらすぐ取り出すことだとか。
トーサンありがとう。おいしかったぜ。
(*1)シレナシジミ: 10〜15cmの巨大シジミ。マングローブ林内の泥地に生息する。食べられるが殻の割には身が小さい。
2月10日(火) 快晴 21℃
やっと晴れた。ふとんを干そうと抱えたら、なんだかしめっていた。もう少しでカビやキノコが生えるところだったんじゃないか。
洗濯物や靴を干す。長靴、磯足袋、マリンブーツのほか、10日前に濡らしたトレッキングシューズもまだ乾いていない。雨が降ると湿度が90%を越したりする。西表って恐ろしいところ。