3月14日(金) 「ブルーシーターを探せ!」・その2 晴れ

南風見田には目的があった。一部で“ブルーシーターズ”と呼ばれる人たちに会ってみたかったのだ。ブルーシートをテントのように張って生活する人。それがブルーシーター。複数いるので“ブルーシーターズ”となるらしい。

「ブルーシートの屋根がわーっと並んでて、すごい眺めよね」
という人もいれば
「いわば、南の島版ホームレス。隣近所とのつきあいがないから、病気で動けなくても気づかれない。亡くなってだいぶして見つかった男性もいるらしい」
 と寂しい現実を教えてくれる人もいた。いったいどんな人間がどんな暮らしをしているのだろう。ブルーシーターのひとりと知り合いになれないだろうか?

ボンゴ軍団から離れ、ブルーシーターズを探して歩く。キャンプサイトのようにブルーシートの家がたくさん並んでいる所を想像していたが、浜からはほとんどなにも見えない。
「ほんとにこの辺かな?」
 近所にキャンプ場ができ、役場から「そちらに移って」と立ち退き要請が出たとも聞く。みんないなくなってしまったのか?

 根気よく探していると、洗濯物を干すロープが張られているところがあった。ここが玄関かもしれない。
「こんにちは」
 森に向かって声をかけてみる。応答はない。森の中をちらっとのぞくと、ブルーシートが見えた! キャンプ用テントの上をブルーシートで覆っているのかと思っていたが、違う。運動会の貴賓席みたいなスペースをブルーシートで作っているのだ。かなり大がかり、かつ本格的。ここを住みかにするのだ、という意志が感じられる。

 浜に出ている洗濯物ロープや物干し台(森の居住スペースに干したのでは乾きが悪いのだろう)を頼りに、なん軒か住まいを見つけたが、すべてお留守。この浜でキャンプ生活を送る人の中には、冬はサトウキビ刈りをして稼ぎ、貯めたお金で残りの季節をすごす人も多いと聞く。いまはちょうどキビ刈りのシーズン。みんな働きに行っているのだろうか。

 しばらく歩くと、30代と思われるカップルがビーチベッドで日光浴をしていた。女性がこちらを見ているので
「こんにちは」
と声をかける。ちょっとけげんそうな顔。
「この辺に、ブルーシートを張って生活されてる方たちがいると聞いたんですが……」
 顔におもいっきり警戒心が出ているので、こちらも遠慮がちになる。
「あのぉ、お住まいの方ですか?」
 チカちゃんが勇気を出して聞く。
「違います!」
 とりつくしまもなし。

「……そういう方がいるって聞いたので、お話を聞けたらと思ったんですけど……」
 歓迎されてないのはわかったが、なんといって立ち去ればいいのか、わからなかった。
「なにを聞くの?」
「どんな暮らしぶりか、とか……」
「聞いてどうするの? 失礼じゃない?」
 確かに失礼かもしれない。
「お邪魔しました」
 ひかえめに挨拶しその場を去る。

 外離島の長崎さんみたいな人ばかりじゃないんだなと、考えればあたりまえのことを思った。彼はどんな人が訪ねてきても歓迎し、喜んでいた。外離島には私以外にも「長崎さんのような生活がしたい」という女の子がひとり、1週間キャンプしていたことがあったらしい。一緒に釣りをしながら1〜2泊し、夜は酒盛りして帰っていく男性も珍しくない。ユニークな場所で生活する人はオープンマインドだと勘違いしていたが、長崎さんのような人は例外なのかもしれない。

 さてどうしよう。ブルーシーターと知り合いになるのはあきらめて、きょうは帰るか?
 そんなことを考えながら歩いていると、お米の袋をぶら下げ歩く推定30代の男性を発見。

彼はブルーシーターなのか!?


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