ガンかもしれない・原因(Rookies連載より転載)

ガンになる原因はいくつか指摘されている。喫煙とか、偏った食生活とか、飲酒とか、紫外線とか。もしガンだとしたら、私の場合なにが原因か考えてみた。

まず、たばこは吸わないし、伏流煙を吸わされるのもスモーカーの大家のおじいと庭ですれ違うときぐらい。たまには飲み過ぎることもあるけれど、お酒は友だちと食事をするときだけで、食生活もそれほど悪くないと思う。紫外線が強いところに住んではいるが、これは主に皮膚ガンの原因で肺ガンとはあまり関係なさそう。肺ガンの原因には「大気汚染」もあるけれど、西表にいてはそれも考えにくい。ちなみに私が“かもしれない”といわれた肺胞(上皮)ガンは腺ガンの一種で、なぜか喫煙をしない女性に多いらしい。

自分ではガンと無縁の生活をしているように思っていたが、しかしすぐにピンとくる原因にぶつかった。ストレスだ。

私は休むことができなかった。いつもなにかに追われていて、やるべきことが毎日、常に山のようにあり、必死にそれをこなしていた。朝起きてメールをチェックしたときから、頭も体もフル稼働。食事のときも、最後の一口をもぐもぐしながら食器を洗い、洗い物が終わると同時に次の“仕事”へとりかかる。

“仕事”は取材や書き物のこともあれば、洗濯や片づけ、料理やそのほか細々としたもののこともある。1日では片づかないかもしれない分量の“仕事”をその日の予定とし、予定通り進まないとイライラした。他人に当たり散らすほどではなくても、ストレスになって積もった。元来のせっかちは、南の島に移ってからなぜか拍車がかかり、あらゆることに関して待つことができなくなっていた。そしていつも、なんとなく不安だった。

そんな生活をしていれば、もちろん疲れる。しかし休めない。「疲れたから休もう」と感じても、いまやらなくてはいけないと思いこんでいることが気になって動かずにはいられない。それでもときにはムリヤリ5分ぐらい横になる。でもまだ疲れていると、「いつまで休んだら疲れが取れるかわからないから」と、やはりなにか始めてしまう。疲労から回復することすら待てないのだ。漢方薬を飲み、ハリやカイロやマッサージに通っても、肩こりや腰痛、冷えがいまひとつよくならないのはそのせいだろう。そのことにはじめて気がついた。

医者の話しぶりからすると、今回、私はガンであったとしても、手術をすれば治る確率は高いと思う。しかしこれまでと同じ生活を続けていては、またガンになるはずだ。また、今回もしガンでなかったとしても、休息のない暮らしを続けていては、近い将来健康を大きく損なう事態が訪れるに違いない。そんな確信がある。

生き方を変えなくてはいけない。そう思った。なぜ私は休むことができないのだろうか? 休息と引き替えにしてまで手に入れようとしているものはいったいなんなのか? まずそこを探ってみなくては……。


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