● たくましくなった!?
穂―虫って、山とかにもいっぱいいるんですよね?
山―うん。向こうにいるといろいろな人と知り合うチャンスが多くてね。いろんな学者が、あそこをフィールドにして研究してるから。蝶とか虫の研究してる人とか、貝の研究してる人とか、ナマズの研究してる人もいるし、民俗学の人もいるし。で、そういう人たちと仲良くなったりすると、フィールドに連れてってもらえたりするの。
この間もジュゴンの発掘調査隊の人たちが、廃村になった集落に連れてってくれたんだけど、もともとそこには行く予定じゃなかったから、私なんか短パンはいてて「困ったな」って。浅瀬で発掘するだけだと思っていたから、そういうかっこうなんだ。でもヤブの中を通って廃村まで行くから、違う装備をしなきゃいけないじゃない。肌の露出を少なくしたりとか。でもみんなすぐに決めてすぐに行動するから、「ちょっと待って」っていって長いパンツにはき替えたり、虫除けスプレーをする暇なんてないの。都会人ならしたいじゃない、そういうヤブ蚊対策(笑)。
でもこのチャンスを逃したら一生行けないかもしれないとか思って、平気なふりして、ちょっと顔を引きつらせてついてくの。でもやっぱりヤブ蚊がぶよぶよいるわけよ。で、こんな足踏みとかしながら「もう過酷……」とか思うんだけど、ほら、ヤブだから、先頭の人がはみ出している木の枝とかアダンとかを刈りながら前に進むわけ。その間に足とか刺されちゃって「かゆ〜」とかいって。早く先に進みたいから先頭の人のすぐ後ろにくっついてるんだけど、「ナタ振ってて危ないから、下がっていなさい」とかいわれちゃって。
でも、そんな経験を1回すると、家に帰ってきて、ちょっとこうクモがいても「あ! もう全然なんでもない!」とか、「ちょろいちょろい、快適!」とか感じて、たくましくなったなぁと思う。
穂―あぁ、そっかぁ! ハブとかもいるんですよね?
山―うん。あとね、そのヤブ入るとき、「この中にダニがいっぱいいるんだよな〜」とかみんな脅すの。私がびびってるの知ってて。ダニに刺されるとどうなるのかわかんなくて聞いたら、「靴下はいてるとゴムのところが次の日赤く腫れて、2カ月くらいかゆいよ」とかいってね。「あ〜もう、こういうとこはダニの巣窟だよなぁ」とかって。へぇ、と思うんだけど。