●貯金をチェック!
穂―いまは、東京で働いて貯めたお金で暮らしているんですよね?
山―うん。
穂―じゃぁ経済的な余裕はあるんですか?
山―うーん……まったくないというわけではないと思うけど。ホームページにも書いたけど、いつまでいるかとか、なにしに行くか、って考えたとき、引っ越そうかどうしようかって迷ってるときの決断にもつながっていくんだけど、「いったい自分は向こうに行って仕事があるのか?」とか「暮らせるのか?」とか「その後どうするのか?」って、考えてもいつまでも答えは出ないんだよね。で、どうしようかなぁと思ったとき、ちなみにいまいくら貯金があるのかなぁとごそごとやったら、予想よりちょっと多くあったの。じゃ、使っちゃえ、と思って(笑)。稼がなくてもいいや、と思ったら気が楽になった。
私のプロジェクトは300万……一応300万円の予算なのね。これだけあれば2、3年前後住めないかなと思ってるんだけど。ただ島にいるだけならそんなにお金はかかんないの。だけどやっぱり、沖縄本島とかにも行きたいし、他の八重山の島にも行きたいし、旅行してるとお金かかっちゃう。あと、やっぱり東京に戻って来て、なにも考えずにほっとしたりしたいじゃない。だから東京に息抜きに戻るお金も入れてなんだけど。
行ったころは、すぐに仕事をしたいとか、お金になることしたいとか思ってたけどね。でもやっぱり向こうの人との兼ね合いもあって、そうはいかない。沖縄って複雑な所で――ほかもそうかもしれないけど――いきなりやって来て島のことを書いたりすると、土足で人の家に上がりこんで中のものを見て「あ、これいいですね、これいいですね」って書かれていると感じるみたい。「私腹を肥やして」って、そういう見方をされるのね。
そんなのなにも知らなかったからねぇ。なかなか馴染めないと思い詰めてると「焦るな」とかいわれるし。「とりあえずはなにもしないでじっと観察して」ともいわれて。
向こうに行って、自分がもっとタフになればいいな、とかっていうのがあるのね。異文化……生命力がすごく強いああいう島の自給自足みたいな暮らしからなにか学べないかとか、たとえば山に入って「この草の名前はこれこれで、こうして食べます」とか、そういうことを教えてもらいたかったの。ツタとかを使って草履を作ったり、民具を作ったり。生きるスキルみたいなものを教われたたらいいなぁと漠然と思ってたけど、急いじゃダメみたい。人間関係を作るのがまず大事。しかもそれは、自然にできていくのを待たなきゃいけない。時間がかかるのよ。
でもね、もちろんそういう生きる知恵みたいなことも大事なんだけど、西表で暮らすことは、もっとこう、なんかすごく深いこととつながってるような気がしてね、最近は。一応3年を区切りと思ってるんだけど、長いスパンでものを見たときに、3年って下見って感じかな、とも思うし。あそこの島にいることは、すごく自分のためになる。いい、っていうか……。楽しいことだけじゃなくて、とても厳しいこともあったりするんだけどね。